科学のこころ
子どもの頃に「科学大鑑」という、表紙がカラーの雑誌があった。我が家は、大学生相手の小さな下宿屋をしてつましい生活だったが、子どもの教育には誰よりも熱心で、幼稚園の頃から、この雑誌が毎月届くのを楽しみにしていた。もちろん、今のようにグラビア写真は存在しないから、精密画の世界ではあるが、当時、何も知らない子どもにとっては新鮮で、迫力満点であった。確か巻の前半分が写真で、後ろ半分が解説、漢字ばかりで、子どもにとっては何の役にも立たなかった。インターネットで、出版社を探ろうとしたが、50年も前のことで、これという情報はヒットしなかった。いずれ国会図書館かどこかで探してみようと思っている。記憶をたどってみると、「未来都市」がどうなっているか、という巻もあった。高速道路がガラスのチューブの中を走っている。その道路が建物を突き抜けている。現代そのものといっていい。空をエアカーが浮遊している。これは、まだ実現していない。たぶん、「天文気象」の巻であったろうと思うが、「宇宙」の部分では、宇宙ステーションの図もあった。丸い輪になっていた。引力を発生させる原理を中心として描かれているので、今の宇宙ステーションとはだいぶ形が違う。整列した惑星、アンドロメダ銀河も覚えている。「地球のはて」についてのさまざまな説を紹介した巻、海底のようすを描いたもの、表紙は、潜水夫にポンプで空気を送っているというものであった。恐竜、翼竜など古代生物の巻もあった。物理、科学、生物、地学すべてを網羅していたのである。
今は亡き東大の竹内均氏は、私財を投じて雑誌「Newton」を創刊したが、ここでも使われたのは写真ではなく、精密画である。東京芸大のクリエータが腕をふるっているということである。
それにしても子どものころに受けた印象の鮮烈さに価値があることをつくづく考えさせられる。科学好きがここからはじまっているのは間違いない。













