リリー・フランキー
リリー・フランキー: 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ (★★★★)
本屋で平積みされていた「東京タワー オカンと僕と時々オトン」という本をみたとき、よく知らなかったので、作者は外国人かと思った。NHKBSの「週間ブックレビュー」で紹介されて、日本人だとわかった。はじめての長編だそうだ。「週間ブックレビュー」は、毎週、欠かさず見て、サイトもチェックする。この番組がきっかけで、結構、本屋で題名だけを見て、自信を持ってさっさと買ってしまう。往復一時間半の電車をそれで過ごす。やはり小説が好きだ。「東京タワー」をうまく中心に据えた構成は、気が利いている。「オカン」の存在が中心となって主人公の成長ぶりが訥々と、かつ巧みに表現されていく。「時々オトン」に、父親の典型を見るようであった。計算されたなかに情があふれる書きぶりは、時を忘れさせる。作者が美術系だと知らされているからか、聴覚映像が、ことのほか鮮やか。ただ、なんとなくセピアがかっていてもいいような気もしないではない。
懐古趣味というか、三、四十年前の原風景がノスタルジックに描かれる作品は、なにも今に始まったことではない。理屈抜きでいいものだが、この作品はひと味違う。親子の情と、取り巻く人々の友情、とてもいいと思った。昨日書店に行ったら100万部突破のポップが立っていた。みんなに読んでもらいたい一冊だ。
ちょっと趣は違うが、最近、「三丁目の夕日」という映画も公開されたらしい。ぜひ見てみたい。もうすぐ第一線を退く、「昔はよかった」という団塊の世代たちには大受け間違いなしである。
直木賞作家の朱川湊人氏の「はなまんま」、「かたみ歌」にも通ずるところがあって、一読の価値がある。本の世界はなかなかおもしろい。






